2016年04月14日

刺さないはりについて⑤

前回の続きです。

前回、刺さないはりは、身体に流れる「気」に働きかけていることを書きました。

今回は、身体に流れる「気」は、どういう状態で存在するかについて、
具体的に見ていきたいと思います。

刺さないはりを使うとき、私が持つ世界観として、以下の様に前回書きました。


人間の身体は「気」が集まって形作られており、
その「気」が循環することで、生命活動が営まれる。

目に見えない「気」というエネルギーが身体を巡って
五蔵六府が正常に機能して、人は健康でいられる。


この時に「気」が巡るルートを「経絡」(けいらく)と呼んでいます。

なにぶん、「気」は目には見えないし、現代科学で捉えることができていないので、
自分の身体にもその流れがあると言われても、ピンと来ないかもしれません。

古代の中国では、「気」の概念のもとに、医療を行うときに早くからその存在を認められ、
どのような流れがあるか探求され続けてきました。
約2000年前に編纂された、
黄帝内経(こうていだいけい)『霊枢』(れいすう)経脉篇(けいみゃくへん)
での記載により、一応の完成をみます。

刺さないはりについて⑤
刺さないはりについて⑤

手と足にそれぞれ6本ずつあり、体幹部もめぐっています。
身体の片側で12本あるので、左右合わせると24本です。
これに正中の腹側、背中側の2本を加えます。
合計すると26本の主な流れがあることになります。

「気」はこのルートを絶え間なく循環しています。
スムーズに流れていれば、五臓六腑が働き、人は自分で自分の身体を回復させながら、
健康を保つことができます。
どこかで滞れば、それを発端に不調が現れてきます。
初めは自覚しないレベルから始まり、はっきりした症状へ、
そして慢性的なものへと変化してきます。

私の行う刺さないはり治療は、
「経絡」の流れを認め、そこを流れる「気」を常にスムーズにめぐっている状態にすることが
治療時における一番の目的になります。

わかりやすいイメージとして、現実の社会では、張り巡らされた用水路をイメージして
みると良いかもしれません。

水が滞りなく流れていれば、問題はありませんが、
どこかで詰まって流れが悪くなり出すと、水質が悪化して腐ったり、
ひどい場合には、ヘドロ状になり底に溜まってしまいます。

治療はまさに、身体にあるこの用水路を掃除することに他なりません。
一番原因になっているところを取り除いてあげれば、
あとは水の勢いにより自然と流れが回復してきます。

刺さないはりについて⑤

「流れる水は腐らず」

一昨年、国立科学博物館 特別展「医は仁術」に行った際、
グッズ売り場で見つけて、思わず購入したポストカードです。

次回に続きます。

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Posted by 鍼灸きさらぎ堂 at 23:55│Comments(0)診療案内
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