2016年06月06日

刺さないはりについて⑥

前回から、だいぶ間が空いてしまいましたが、
続きを書いていきます。


刺さないはり治療において、

身体には目にはみえないけれど、「経絡(けいらく)」という「気」の流れる通り道があり、
うまく流れていれば人間は健康を保つことができる。
「気」を動かし「経絡」をとどこおることがないようにすることが、
治療の目的であることを前回述べました。

今回は治療の具体的な方法と、刺さないはりが効く理由について考えてみたいと思います。


「経絡」を流れる「気」は、目には見えず、はっきりとは感じにくいものです。
そのうえ、現代の科学では、まだ解明されていません。

でも確かに存在し、その流れが人の身体の状態を大きく左右しています。
それを理解していた中国の古代の人々は、いろいろな方法で、人体の「気」を捉えました。
それが伝統医学における診断法として、後世にまで伝えられてきました。

特別な力を持つ人なら、そのような診断法に頼らなくても良いかもしれませんが、
そんな人は一握りです。

というわけで、顔色を診る(みる)、臭いを嗅ぐ、脉(みゃく)を診る、腹を診る、舌を診るなど、
様々な診断法が積み上げられてきました。

その努力を一言で表すと、
「はっきりとつかめないが、確かに存在するものを、いかに万人が理解できるものとして、とらえるか」です。


では、私が具体的にどんな治療をしているか、
すなわち、どんな診断法によって「気」を確認し、動かしていくか?について書いていきます。


私が取り組んでいる刺さないはり治療では、
『難経(なんぎょう)』という医学古典に軸足をおき、その方法を実践しています。

その中で、私は「脉診」「ツボ反応」の二つを大きな柱としています。

『難経』の一番最初には、手首の脉〔橈骨(とうこつ)動脈〕を診ることで、全身の状態、
身体の中で起こっていることがわかるという事が述べられています。

一難に曰く、十二経にみな動脉あり、ひとり寸口にのみ取りて、
以って五蔵六府の死生吉凶の法を決す、とは何の謂ぞや。
~中略~
寸口は、五蔵六府の終始するところ、故に法を寸口に取るなり。

(寸口=手首の脉)

刺さないはりについて⑥

治療においては、
どこの経絡が滞っているのかを、主に脉を診て判断します。

するとそのしるしとして、その経絡上にツボ反応があらわれています。
ツボ反応は、凹み、ゆるみ、むくみ、冷えなどです。

そのツボ反応に対して刺さないはりを近づけたり、接触させたりします。
これだけでそのツボ反応が変化します。

これが、刺さないはりが効く理由です。


受けている方の感覚が鋭ければ、何かされたのかなという感じはありますが、
大抵の方は何も感じないことが多いです。

ツボ反応が無くなれば、それ以上はりをする必要はなくなります。
そして経絡がスムーズに流れているということになり、脉を確認してその傾向が確認できれば
治療は終了となります。

このように治療をしています。


目に見えない気の流れを、実際触れられるものとして、
手首の脉の拍動と、身体の表面にあらわれたツボ反応の変化で、感じ取っています。


次回に続きます。

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Posted by 鍼灸きさらぎ堂 at 23:51│Comments(0)診療案内
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