2015年01月06日
お産について⑤
前回の続きです。
息子は今月1歳を迎えます。
つたい歩きをしながら、歩く練習をしています。
こたつの机によじ登ってみたり、なかなか目が離せないです。
お産を通して感じたことを書いてきましたが、
最終回として、出産時のことを思い出してみます。
妻は35歳以上の初産でした。
予定日を過ぎても生まれる気配がなく、
産道を柔らかくするために、安産灸として三陰交にたくさんのお灸を据えていました。
結局、予定日の2日後、
朝の5時前に自宅にて破水し、
病院へ行き、翌日の昼1時台に出産しました。
先に破水して入院し、丸一日を経過して、
翌日の朝、本格的な陣痛が来てから出産まで半日かかりました。
時間はかかりましたが、妻は出産時の出血も少なく済み、私としては安産だったと思います。
以前の私は、安産とは陣痛が始まってから、出産するまでの時間が
短くて済むことだと思っていました。
母親が陣痛に苦しむ時間が短いほど安産、というわけです。
しかし、お産を身近でみて、考え方が変わりました。
安産とは、
まずは母子ともに健康で出産できることでしょう。
そしてお産に伴う母体へのダメージは出来るだけ少ないことです。
時間が短くても、出血が多かったり、一気に出産することで、
裂傷がひどいものになっては、産後の肥立ちが悪く、安産とは言えないと思います。
戦前の産婆の腕の見せ所は、いかに母体の裂傷を少なくするかだと言われていたようです。
赤ん坊の体力があるなら、ゆっくり産道が拡がるように、時間を掛けてでも
出産をさせることもあったようです。
『家で病気を治した時代-昭和の家庭看護』より
今回私は陣痛室からずっと付き添い、出産にも立ち合いました。
夫の役割は、陣痛が来ている間、声をかけて励ましたり、
マッサージをしたり出来ることは限られていますが、
効果的だなと思ったことがあったのでご紹介します。
それは身体の冷たくなっているところを、手掌で温めてあげることです。
とくに下肢です。足先や内くるぶし周り、三陰交など触って冷たく感じるところを
温めてあげます。単純なことですが、これで陣痛のつらさが緩和されたと妻は言っています。
もちろん定期的にやってくる陣痛そのものは痛いものですが、
乗り越えられる痛みにかわってくれたと言います。
精神的な落ち着きももたらし、ゆっくり産道を柔らかくすることが出来たのではないかと思っています。
お産は最終的には母親と赤ん坊の頑張りにかかっているわけですが、
まわりの人間がサポートをすることで、できるだけ楽に出産をすることが出来ると思います。
今回私は夫として、鍼灸師として妊娠中からずっとお産に関わることができました。
「お産について②」の中で、
”いかにお腹を柔らかい状態にキープしておくか”ということを書きましたが、
妻の治療を通じて出産をサポートでき、
そして、すぐに薬に頼らずに、人間の持つ適応力を、
あるときは劇的に、またあるときはじわじわと引き出せる
鍼灸の可能性を改めて感じることができました。

息子は今月1歳を迎えます。
つたい歩きをしながら、歩く練習をしています。
こたつの机によじ登ってみたり、なかなか目が離せないです。
お産を通して感じたことを書いてきましたが、
最終回として、出産時のことを思い出してみます。
妻は35歳以上の初産でした。
予定日を過ぎても生まれる気配がなく、
産道を柔らかくするために、安産灸として三陰交にたくさんのお灸を据えていました。
結局、予定日の2日後、
朝の5時前に自宅にて破水し、
病院へ行き、翌日の昼1時台に出産しました。
先に破水して入院し、丸一日を経過して、
翌日の朝、本格的な陣痛が来てから出産まで半日かかりました。
時間はかかりましたが、妻は出産時の出血も少なく済み、私としては安産だったと思います。
以前の私は、安産とは陣痛が始まってから、出産するまでの時間が
短くて済むことだと思っていました。
母親が陣痛に苦しむ時間が短いほど安産、というわけです。
しかし、お産を身近でみて、考え方が変わりました。
安産とは、
まずは母子ともに健康で出産できることでしょう。
そしてお産に伴う母体へのダメージは出来るだけ少ないことです。
時間が短くても、出血が多かったり、一気に出産することで、
裂傷がひどいものになっては、産後の肥立ちが悪く、安産とは言えないと思います。
戦前の産婆の腕の見せ所は、いかに母体の裂傷を少なくするかだと言われていたようです。
赤ん坊の体力があるなら、ゆっくり産道が拡がるように、時間を掛けてでも
出産をさせることもあったようです。
『家で病気を治した時代-昭和の家庭看護』より
今回私は陣痛室からずっと付き添い、出産にも立ち合いました。
夫の役割は、陣痛が来ている間、声をかけて励ましたり、
マッサージをしたり出来ることは限られていますが、
効果的だなと思ったことがあったのでご紹介します。
それは身体の冷たくなっているところを、手掌で温めてあげることです。
とくに下肢です。足先や内くるぶし周り、三陰交など触って冷たく感じるところを
温めてあげます。単純なことですが、これで陣痛のつらさが緩和されたと妻は言っています。
もちろん定期的にやってくる陣痛そのものは痛いものですが、
乗り越えられる痛みにかわってくれたと言います。
精神的な落ち着きももたらし、ゆっくり産道を柔らかくすることが出来たのではないかと思っています。
お産は最終的には母親と赤ん坊の頑張りにかかっているわけですが、
まわりの人間がサポートをすることで、できるだけ楽に出産をすることが出来ると思います。
今回私は夫として、鍼灸師として妊娠中からずっとお産に関わることができました。
「お産について②」の中で、
”いかにお腹を柔らかい状態にキープしておくか”ということを書きましたが、
妻の治療を通じて出産をサポートでき、
そして、すぐに薬に頼らずに、人間の持つ適応力を、
あるときは劇的に、またあるときはじわじわと引き出せる
鍼灸の可能性を改めて感じることができました。
