2015年01月21日

花粉症について②

前回の続きです。

花粉症に対して鍼灸のアプローチとしては、

1.花粉症の症状が出ている時期に行う対症療法的な治療

2.花粉症が発症していない時期に行う治療(主に夏や秋)
…根本的にアプローチする場合はこちらの治療が必要となります。

それぞれみていきます。

1.→東洋医学では、花粉症による目、鼻、喉の炎症症状を
上部の気の流れ(=経絡)が熱を持った状態と考えます。
その原因は2.で述べますが、花粉が飛んでいる時期は、
手足の陽明経という目や鼻を流れている経絡が
詰まっていることが多いです。そこが通じるようにツボを使い治療していきます。
上に溜まった熱を、下におろしたり、発散させることで取り除いていきます。


2.→症状が出ていないときに、治療をするとは変だな、と思うかもしれません。
ですが、根深い花粉症の患者さんは、症状が出ていない時期から治療をしていかないと、
必ずといって良いほど、毎年同じことの繰り返しになってきます。

1.で経絡が熱をもつと書きましたが、その原因の一つが、夏に身体に溜まる「熱」です。
人間は気候に合わせて、身体も変化させています。
大雑把に言うと、夏は暑い時期として、必然的に身体に陽気(熱)が蓄えられていきます。
(これが過剰になると熱中症などになります)
秋には余分な陽気を発散させ、冬はその陽気を消耗しないように養い、
春にその陽気を使い、活動的になっていきます。
(季節感のない生活に慣れた現代人はピンと来ないかもしれませんが、
熊など、冬眠する野生動物の暮らしを想像してみれば、理解出来ることと思います。)

夏に身体に溜めた陽気(熱)を、秋に身体を動かすなどして、余分な分をうまく発散出来れば
良いのですが、それが成されずに冬を迎えると、身体の奥に熱が潜むことになります。
これが春になり、陽気が発散される時期に、身体の奥に潜んでいた熱が表に出てくることで、
人体上部の熱症状になります。春に起きる炎症はこの影響がかなりあると言えます。

また夏の間に冷たいものを取りすぎて胃腸を冷やし、
その働きを低下させることで、身体の中に「湿」が溜まりやすくなります。
この湿がさばけずに古くなって、身体にとって有害なものになったのを「痰飲(たんいん)」と呼び、
これも花粉症のとき、しつこい涙や鼻水の原因となります。


1年を通してこのサイクルが改善されない限り、花粉症はなかなかよくなりません。

少し専門的な話になりましたが、
・秋の時期にいかに余分な熱を発散させ、熱がこもらない身体にしておくか
・夏からいかに胃腸を整え、余分な湿を溜めない身体にできるか
が大切になってきます。
これにより、根本的に症状が抑えられる見通しがたってくると言えます。

もちろん花粉症がはじまる今から治療することも無駄ではありません。
その都度スムーズに陽気が発散できるように方向性をつけ、
胃腸の状態を整えることで、
つらい症状を緩和することができます。

私の所属する漢方鍼医会では、現在運気論に基づいた治療
(1年の季節の循環を考慮した治療)を追及しております。
きさらぎ堂でも、
ここ1年ほど季節を考慮にいれた治療に取り組み、成果をあげています。


次回は花粉症の症状があるときに
注意した方が良いことについて、書いてみようと思います。  


Posted by 鍼灸きさらぎ堂 at 22:12Comments(0)疾患別